化学

【科学,理科,化学】違いを解説【英語では?】

「科学」「理科」は英語で両方ともサイエンス(science)
「科学」と「化学」は両方とも読みが『カガク』

まぎらわしいですよね。
受験に「理科」と「化学」はありますが、「科学」は聞きません。
理系っぽいワードが並びましたが、実は文系にも科学はあります。

・これらの言葉の違い
・科学の分類
について、研究歴13年の科学者としてやさしく解説します。
よろしくお願いします。

【科学と理科】違い

先に答えを言います。
科学のなかに、理科があります。
そして、その理科のなかに、化学があります。

科学

科学(science)は、
人間や人間をとりまく世界がどう機能しているのか
証拠を集めて理解しよう
とすることです。
また、その努力の積みかさねとして、ガリレオやニュートンのような偉人を含めて、
現代まで長く続いている、科学者みんなで協力して取り組む学問です。
科学とは広い意味で「学問」を指します。

科学には以下の3つが必要です。

  1. 客観性: 観察や実験で、動かぬ証拠を集めます
    (「自分はこう思う」という主観はNG)
  2. 論理性: 証拠をもとに、道筋をたてて考えて、理論や法則を導きます
    (主張が二転三転するのはNG)
  3. 普遍性: 理論や法則は、例外なくいつでもどこでも成り立つ
    (やるたびに違う結果になるのはNG)

科学の分類

科学のなかで、自然がどう機能しているのかを扱うものを
『自然科学』(natural science)と言います。
世間一般のイメージに一番近い科学がこの『自然科学』ですが、
何を対象に”科学”するかによって、他にも種類があります。
下の図でまとめます。

最近では理系・文系という分類ができない領域も増えています。

科学の分類。赤字で学校で習う科目と対応させています。

理科

『理科』(science)は学校で自然科学を学ぶ教科です。
『物理』『化学』『生物』『地学』の4つに分けられます。

キーワードを上げると、違いがわかりやすいと思います。
物理: 力、波(音や光)、電気・磁気
化学: 物質、化学変化、化学反応、電池
生物: 動物、植物、遺伝
地学: 大地(地層)、天気・季節、宇宙

有名人でいうと、
物理: ニュートン(万有引力)、アインシュタイン(相対性理論)
化学: ドルトン(原子説)、メンデレーエフ(周期表)
生物: ダーウィン(進化論)
地学: ウェゲナー(大陸移動説)

【科学と化学】違い

科学とのまぎらわしさを避けるために、化学を「ばけがく」と呼ぶ人もいます。
化学(chemistry)は科学の1分野で、
物質の構造や性質、物質どうしの反応に関する分野です。
白衣を着て、試験管やフラスコを振って実験をしているイメージで合っています。

しかし、化学とひとくちに言っても膨大な学問です。
無機化学、有機化学、分析化学といった子分類もあり、
さらにそのなかに多くの孫分野があります。

他の科学分野と内容が重なった部分もあるので、
・物理化学(physical chemistry)
・生化学(biochemistry)
・地球化学(geochemistry)
・医薬品化学(medicinal chemistry)
など、専門分野が交差したものもあります。

まとめ

科学の分類を紹介することで、理科との違い、化学との違いを解説しました。
自然をあつかう科学のなかで、学校で教わるのが理科。
理科のなかで、物質の成り立ちや、物質どうしの反応をあつかうのが化学。

高校生の方がいらしたら、学部選びの参考にしていただけたら嬉しいです。
(こうした学問体系、私の高校では教えてくれませんでした)

このブログではひきつづき科学や理科、化学のオモシロさを記事にしていきます。
どうぞよろしくお願いします。

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