目に見える物の大きさには限界がありますよね。
人間はだいたい100ミクロン(=0.1ミリ)
まで見えると言われています。
ウイルスや細菌、花粉などは
どのくらいの大きさなのでしょうか。
市販の不織布マスクの網目の大きさは5ミクロンくらい。
ちゃんとトラップ(捕捉)できるのでしょうか。
13年以上、電子顕微鏡を使って研究をする
専門家として、わかりやすく図で解説します。
それでは、よろしくお願いします。

ナノってなに?
長さの単位メートル(m)や重さの単位グラム(g)の前に
キロ(k)を付けると1000倍、ミリ(m)を付けると1000分の1になります。
これらは普段から使う言葉ですよね。
これと同じようにマイクロ(μ)やナノ(n)があります。
1μmは1000分の1ミリ
つまり100万分の1メートル。
1nmはそのさらに1000分の1、
つまり10億分の1メートルです。
ちょっと数字だけだとわかりにくいので、
図で見てみましょう。

富士山の高さの
約1000分の1がバスケゴールの高さです。
その1000分の1が米粒の大きさ、
さらに1000分の1がカビの胞子の大きさ。
ナノの世界は、そのさらに1000分の1にあります。
【ナノの世界】ウイルスの大きさは?
肉眼では観察できない
肉眼
人間がふだん見たり触ったりしているのは、
せいぜいミリの世界です。
目に見える限界は100ミクロン(=0.1mm)
と言われています。
それ以下のミクロの世界を見ることはできません。
光学顕微鏡
それより小さい物を見るには顕微鏡を使います。
顕微鏡にも色々あって、学校で使うものは光学顕微鏡です。
虫メガネのようなレンズをたくさん使って、
小さい物を拡大して観察する装置です。
ミクロンの世界を観察することができます。
2014年のノーベル化学賞は、
光学顕微鏡の性能を各段に向上させたことでした。
電子顕微鏡
ナノの世界をみる現代最強のツールは電子顕微鏡です。
電子顕微鏡もレンズをたくさん使って、
小さい物を拡大して観察する装置です。
光学顕微鏡が目に見える光(可視光)を使ってみるのに対して、
電子顕微鏡では電子線というさらに細かいビームで観察します。
なので、光学顕微鏡より1000倍以上も小さいものを見ることができます。
高さ2.5mくらいある、大きな顕微鏡です。
一番大きなものだと高さ14mくらいあります。
電子顕微鏡の開発者は1986年にノーベル物理学賞をとっています。
2017年のノーベル化学賞は電子顕微鏡の新しい観察技術の開発でした。

(右) 電子顕微鏡 (jeol.co.jp)
【ウイルス】大きさの比較例
実際にナノの世界のものを並べてみましょう。
細菌はミクロンなので、光学顕微鏡でみれます。
ウイルスはその10分の1、100ナノメートルなので、
電子顕微鏡でないとみれません。
市販の不織布マスクの穴の大きさは5μm程度だそうです。
花粉は10μmなのでブロックできそうですが、
細菌やウイルスはそれより小さいので、
マスクを通過してくることもありそうです。
ただ、マスクをしているとツバの飛沫が出ていくことを
防げるのと、顔を触る頻度が減るので、
一定の効果はあると思います。
医療用だと100nmの粒子を99%捕集する
マスクもあるそうです。

まとめ
ウイルスや細菌、花粉などのサイズを比較しながら、
ナノの世界のスケール感について、図解しました。
また、顕微鏡の種類を紹介しました。
光学顕微鏡は光を使って観察するので、
カラーで見れるという特徴もあります。
電子顕微鏡はシロクロしかありません。
ウイルスの写真に色が付いているのは、
科学者が研究成果に、あるいはメディアが報道に、
インパクトを与えたいときかも知れません。
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最後までご覧いただき、
ありがとうございました。