目に見える物の大きさには限界がありますよね。
人間はだいたい100ミクロン(=0.1ミリ)
まで見えると言われています。
ウイルスや細菌、花粉などは
どのくらいの大きさなのでしょうか。
市販の不織布マスクの網目の大きさは5ミクロンくらい。
ちゃんとトラップ(捕捉)できるのでしょうか。
13年以上、電子顕微鏡を使って研究をする
専門家として、わかりやすく図で解説します。
それでは、よろしくお願いします。
![](https://kekelab.com/wp-content/uploads/2021/09/microscope.jpg)
ナノってなに?
長さの単位メートル(m)や重さの単位グラム(g)の前に
キロ(k)を付けると1000倍、ミリ(m)を付けると1000分の1になります。
これらは普段から使う言葉ですよね。
これと同じようにマイクロ(μ)やナノ(n)があります。
1μmは1000分の1ミリ
つまり100万分の1メートル。
1nmはそのさらに1000分の1、
つまり10億分の1メートルです。
ちょっと数字だけだとわかりにくいので、
図で見てみましょう。
![](https://kekelab.com/wp-content/uploads/2021/09/nanoscale-1.png)
富士山の高さの
約1000分の1がバスケゴールの高さです。
その1000分の1が米粒の大きさ、
さらに1000分の1がカビの胞子の大きさ。
ナノの世界は、そのさらに1000分の1にあります。
【ナノの世界】ウイルスの大きさは?
肉眼では観察できない
肉眼
人間がふだん見たり触ったりしているのは、
せいぜいミリの世界です。
目に見える限界は100ミクロン(=0.1mm)
と言われています。
それ以下のミクロの世界を見ることはできません。
光学顕微鏡
それより小さい物を見るには顕微鏡を使います。
顕微鏡にも色々あって、学校で使うものは光学顕微鏡です。
虫メガネのようなレンズをたくさん使って、
小さい物を拡大して観察する装置です。
ミクロンの世界を観察することができます。
2014年のノーベル化学賞は、
光学顕微鏡の性能を各段に向上させたことでした。
電子顕微鏡
ナノの世界をみる現代最強のツールは電子顕微鏡です。
電子顕微鏡もレンズをたくさん使って、
小さい物を拡大して観察する装置です。
光学顕微鏡が目に見える光(可視光)を使ってみるのに対して、
電子顕微鏡では電子線というさらに細かいビームで観察します。
なので、光学顕微鏡より1000倍以上も小さいものを見ることができます。
高さ2.5mくらいある、大きな顕微鏡です。
一番大きなものだと高さ14mくらいあります。
電子顕微鏡の開発者は1986年にノーベル物理学賞をとっています。
2017年のノーベル化学賞は電子顕微鏡の新しい観察技術の開発でした。
![](https://kekelab.com/wp-content/uploads/2021/09/om-tem.png)
(右) 電子顕微鏡 (jeol.co.jp)
【ウイルス】大きさの比較例
実際にナノの世界のものを並べてみましょう。
細菌はミクロンなので、光学顕微鏡でみれます。
ウイルスはその10分の1、100ナノメートルなので、
電子顕微鏡でないとみれません。
市販の不織布マスクの穴の大きさは5μm程度だそうです。
花粉は10μmなのでブロックできそうですが、
細菌やウイルスはそれより小さいので、
マスクを通過してくることもありそうです。
ただ、マスクをしているとツバの飛沫が出ていくことを
防げるのと、顔を触る頻度が減るので、
一定の効果はあると思います。
医療用だと100nmの粒子を99%捕集する
マスクもあるそうです。
![](https://kekelab.com/wp-content/uploads/2021/09/nanoscale-2-1.png)
まとめ
ウイルスや細菌、花粉などのサイズを比較しながら、
ナノの世界のスケール感について、図解しました。
また、顕微鏡の種類を紹介しました。
光学顕微鏡は光を使って観察するので、
カラーで見れるという特徴もあります。
電子顕微鏡はシロクロしかありません。
ウイルスの写真に色が付いているのは、
科学者が研究成果に、あるいはメディアが報道に、
インパクトを与えたいときかも知れません。
Twitter(@kekehakase)をやっています。
今後も有益な情報を発信していきますので、
フォローしていただけたら嬉しいです。
最後までご覧いただき、
ありがとうございました。