物理

【月】なんで落ちてこない?【リンゴは地球に落ちるのに】

とつぜんですが、
『歴史上もっとも影響力のある人物ランキング100』
を知っていますか?

1位: ムハンマド (イスラム教の創始者)
2位: ニュートン (古典力学の基礎を構築)
3位: キリスト (キリスト教徒が神の化身として崇拝)
4位: ブッダ (仏教の創始者)
5位: 孔子 (儒教の創始者)
(引用元: Wikipedia (EN), The 100: A Ranking of the Most Influential Persons in History)

トップ5は宗教的リーダーばかりです。
時代も1500年~2500年前の人達です。
トップ5に科学者として唯一ランクインしているのがニュートン
300年前のイギリスの科学者です。
(日本で言うと江戸時代)

ニュートンは『万有引力の法則』を発見した人です。
重さを持つすべてのものは引かれ合っている
という法則です。

ニュートン
ニュートン
リンゴは地面に落ちるのに、月が落ちてこないのはどうしてだろう?

ニュートンはこのギモンを考えたことがキッカケに
『万有引力の法則』をみつけたと言われています。

今回の記事では、「なぜ月は落ちてこないか?」
ということについて、図を使ってわかりやすく解説します。
それではよろしくお願いします。

リンゴはなぜ落ちる?

すべての物体は万有引力でお互い同じ力で引かれ合っています。
リンゴが地球に重力で引っ張られているとき、
リンゴも地球を同じ大きさのチカラで引っ張っています。

ただ、地球はとても重たいので、
リンゴが引っ張るチカラではビクとも動きません。

逆に、リンゴはとても軽いので、
同じチカラの大きさで引っ張られると、
地球の真ん中に向かって落ちます。

ではリンゴを横方向(水平方向)に投げたらどうなるか、
投げるスピードによって違うことが起こるので見てみましょう。

① リンゴを投げてみる

リンゴをふつうに投げると、地面に落ちます。
一般の成人男性が投げたら時速100kmくらいです(図の①-1)。

では、野球選手がそれより速く、
時速150kmで投げたらどうでしょう。
さっきより遠くまでリンゴが飛びます(図の①-2)。

では、もっともっと速く投げたらどうなるのでしょうか。

② 秒速7.9kmの場合

秒速7.9kmは時速28,400kmです。
新幹線の100倍の速さです。
(そんなに速くリンゴ投げたら潰れちゃいますが、
ここではそれには目をつぶりましょう)

この速度で放り投げると、遠くに飛ぶどころか、
地球のまわりをくるくる回るようになります(図の②)。
地球の表面に戻ってくる(落ちてくる)ことがなくなります。
(この速度を『第一宇宙速度』と呼びます)

地球から遠ざかろうとし続けて、
同時に地球に落ち続けて、
両方が同じくらいです。
なので、飛んでいっちゃいもしないし、
落ちてくることもありません

人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS)は、
こうやって地球のまわりをまわっています。

③ 秒速11.2km以上の場合

秒速11.2kmは時速40,300kmです。
新幹線の140倍の速さです。

この速度で放り投げると、
地球の重量をふりきって
宇宙を進むことができるようになります(図の③)。
(この速度を『第二宇宙速度』あるいは
『地球脱出速度』と呼びます)

月に行ったり、火星に探査車を送るためには、
ものすごい速度が必要です。

ちなみに太陽の重力を振りきって、さらに宇宙を進むには
さらに1.5倍くらいの速さが必要です。
第三宇宙速度(太陽系脱出速度)は秒速16.7km、
つまり時速60,100kmが必要です。

月はなぜ落ちてこない?

月は②の場合と同じです。
地球のまわりを高速で飛び出そうとしながら(遠心力)、
同時に地球に落ちようとし続けています(万有引力)。
これら2つのチカラが同じ大きさなので、
結果として飛んでいかず、落ちてこず、回り続けています。

ジャイアント・スウィングをイメージするとわかりやすいです。
回る速さが速いほど、遠心力が強くなります。
速度がちょうどよいから、離れるチカラと引っ張られるチカラが
つりあって、大人と子どもの距離が一定になっています。

まとめ

「リンゴは地面に落ちるのに、なぜ月が落ちてこないのか?」
というギモンについて、ニュートンの答えを解説しました。

ニュートンが万有引力を発見する前までは、
宇宙(天上界)と地球(地上界)では別の運動法則がある
と信じられていました。
ニュートンは宇宙でも地球上でも同じ法則で説明できる
といくことを明らかにしました。

もちろん彼がひとりのチカラで万有引力に
たどり着いたのではありません。
ガリレオやケプラーなど、先人の知恵があったからこそです。
「先人たちの成果や考えを踏まえてこそ、新しい発見が行われる」
という考えを、ニュートンは「巨人の肩の上に立つ」と表現しています。
巨人のうえに立ってこそ、巨人ですら見えなかったものが見えます。

ニュートンが万有引力の法則を発見したのは、
イギリスで伝染病(ペスト)が大流行したときです。
ケンブリッジ大学が封鎖されたので、故郷に戻り、
たくさん考える時間を得て、有効活用しました。

新型コロナウィルスで”堅苦しい生活”を余儀なくされているいまも、
大発見に向けて黙々と研究に励んでいる科学者がいるかも知れません。

ケンブリッジ大学のトリニティー・カレッジではいまもニュートン(像)が後輩たちを見守っています。(私もお目にかかりました)

最後までご覧いただき、
ありがとうございました。

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