物理

【マジックミラー】なぜ片側からだけ見える?【原理,用途を解説】

晴れた日のビルの窓、
外側からは鏡のように外の景色が映るのに、
内側からはガラスのように外を見れますよね。

このようなガラスは『マジックミラー』と呼ばれます。
明るい側からは『鏡』のように反射して見えて、
暗い側からは『ガラス』のように透けて向こうが見えます。

普通の「鏡」や「窓ガラス」と何が違うのでしょうか。
『マジックミラー』の構造・仕組みや何に使われているかを、
図を使ってわかりやすく解説します。
それでは、宜しくお願いします。

マジックミラーとは?

『マジックミラー』は、
明るい側からは『鏡』のように反射して見えるけど
暗い側からは『ガラス』のように透けて向こうが見える、
そんな特殊ガラスです。

英語っぽいですけど和声英語です。
たぶん外国人には通じません。
英語ではone-way mirror (ワンウェイミラー)と言います。
直訳すると、”片側鏡”です。

マジックミラーの構造

鏡ってどうなってる

マジックミラーについて考える前に、
鏡がどうなっているか、見てみましょう。

鏡はガラスに銀を貼って作ります
銀は金属光沢を持っていて、光をよく反射します。
また、光は銀を透過することはできません

絵で描くと、下のようになります。

マジックミラーはどうなってる

マジックミラーも鏡によく似ていますが、
塗ってある銀がめちゃめちゃ薄いです。
金属を薄くすると、光が半分透過するようになります。
このようにして、半分「鏡」で半分「ガラス」
マジックミラーを作ることができます。

塗る銀をもっと薄くすると、もっと透過します。
もっと厚くすると、もっと反射します。
用途によって、バランスを調整できます。

ガラスの場合は?

ガラスは光を良く透過しますが、
実は少し反射します。

マジックミラーの仕組み

では、このマジックミラーを
「明るい部屋」と「暗い部屋」の真ん中に置いたらどうなるでしょうか。

明るい部屋から入った光100は、
半分50透過して、もう半分の50反射します。

同じように、暗い部屋から入った光10は、
半分5透過して、もう半分の5反射します。

すると、明るい部屋にいる人には
50の明るさの自分と、5の明るさの向こうが映ります。
すると、こちらの明るさにかき消されて、
向こう側の景色を認識することができません。
つまり、自分が映っているので『鏡』に見えます。

例えば、
50うるさい部屋で、5の音を聞き取れないようなものです。
50くさい部屋で、5の匂いを嗅ぎ取れないようなものです。
強く映っているものがあると、弱く映っているものは見えません。

反対に、 暗い部屋にいる人には
50の明るさの向こうと、5の明るさの自分が映ります。
すると、向こうの明るさにかき消されて、
こちら側を認識することができません。
向こう側が透けて見えるので『ガラス』に見えます。

マジックミラーの用途

建築物

先に紹介したように、建物の窓ガラスに使われています。
日中、オフィスとかの中が見えない、という
セキュリティ向上・プライバシー保護の効果があります。

また、光をより多く反射させることは、
建物が熱くなることを抑えられます。
ビルなどの省エネに効果があると言えます。

自動車

自動車のフロントガラス・運転席・助手席のガラスは
外から中を見やすいですが、
後部座席のガラスは、外から中を見にくい車が多いですよね。

これもプライバシー保護の効果があるだけでなく、
日中に車が熱くならないよう省エネ効果があります。
もちろん周りの人がまぶしくなるような迷惑加工はNGです。

サングラス

サングラスやスキーのゴーグル、バイクのヘルメットにも使われます。
紫外線(UV)カットにとても効果があります。

まとめ

『マジックミラー』の構造・仕組み・用途を、
図を使ってわかりやすく解説しました。
普通の鏡やガラスと比較して考えてみました。

実は同じ現象は『普通の鏡』でも起きています。
<昼は屋外が明るい>
・中から外が良く見えるけど、ガラスに自分は映らない
・外から中は良く見えない。ガラスに外の景色が反射する
<夜は屋内の方が明るい>
・中から外の景色は見えなくて、ガラスに自分が反射して映る
・外から中の景色が見える。ガラスに外の景色は反射しない

また、ガラスに自分でマジックミラーシートを貼ったり、
マジックミラースプレーを塗ることもできます。

最後まで読んでいただき有難うございました。
わかりづらい部分もあったかも知れませんが、
家や自動車の窓ガラスを観察してみると、
すんなりわかると思います。
ぜひ観察してみて下さい。

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