材料

【ジュエリーに不純物?】金の純度を解説

24金や18金の純度について、急に聞かれたら答えられますか?
ジュエリーの素材に金を使うとき、金に似た金属を一部混ぜて、金の美しさを保ったまま強度を出して使います。
不純物と言えば不純物ですが、混ぜる量によって耐久性や色合いなどをコントロールできます。
材料科学について15年以上学んだ専門家として、簡単に説明します。

【ジュエリーに不純物?】金の純度を解説

まず純度についてですが、数字を24で割った割合が金の含有率になります。

24金: 24/24 =100%ゴールド
18金: 18/24 = 75%ゴールド
14金: 14/24 = 58%ゴールド
10金: 10/24 = 42%ゴールド

金はその「希少性」「美しさ」から通貨・装飾品として長く利用されてきた金属です。
純粋な金は化学的に安定で、錆びたり変色したりしないので、価値を保存するのにとても有効です。
また、軟らかい金属として知られ、化学の教科書にも展性・延性に富む素材として書かれています。
(展性・延性: 叩いたり引っ張ったりしても壊れずに、金箔のように広がったり、ワイヤー状に伸びたりする性質)

24金(100%ゴールド)は変質しないので、インゴット(延べ棒)やコインなどの形で資産として価値を保つには有効です。
ただ軟らか過ぎるので、指輪やネックレスなどジュエリーの素材には不向きです。

不純物を混ぜて強度アップ

18金は75%ゴールドです。残りの25%として、銀・銅・パラジウムなど金に似た”不純物”をわざと混ぜることで、金の美しさを保ったまま、耐久性を出した素材です。
適度な軟らかさが残っているので加工しやすく、アクセサリーを作るのに適しています。
また、化学的に安定なので変色しにくく、人の身体に触れても変質せずに、アレルギーを起こしにくい素材です。

14金(58%ゴールド)や10金(42%ゴールド)は金の含有率が低いので、18金と比べると経年で変色・劣化しやすいです。
その分、硬く、変形しにくく、傷に強いという特徴があります。
ただ、硬いので、指輪のサイズ変更などの難易度は上がるようです。

カラーバリエーション

24金は100%ゴールドなので、黄金色です。
18金などは混ぜる銀や銅などの割合によって、色のバリエーションを出せます。
ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールドなどがこれです。

話は逸れますが、実はサファイアとルビーは同じアルミナという材料です。
純粋なアルミナは無色透明です。
これにクロムが少し入るとピンクルビーに、多く入ると赤いルビーに、
鉄やチタンが少し入ると水色のサファイアに、多く入ると青いサファイアになります。

純粋なダイヤモンドも無色透明ですが、窒素やホウ素などが混ざることで色が付きます。
ブルー、ピンク、レッドなどのカラーダイヤモンドは希少価値が高くなります。
このように純粋な物質に”不純物”が混ざることで、個性が出て価値が上がることがあります

まとめ

純粋な金に、金に似た金属を混ぜることで、
強度を上げたり、色のバリエーションを増やしたりできることを解説しました。

不純物と言えば不純物なのですが、
より安い金属でかさ増しをするためではなくて、
『強度・加工しやすさ』や『色合い・変色しにくさ』
あるいは『値段』をコントロールして、
多様なニーズに応える素材が作られています。

ジュエリーショップの美しい金属や宝石にも、
色んな科学が詰まっていますね。

最後までご覧いただき、
ありがとうございました。

Twitter(@kekehakase)をやっています。
今後も有益な情報を発信していきますので、
フォローしていただけたら嬉しいです。

関連記事

【宝石と石の違い?】宝石の3条件を解説宝石と石ころ、どのような違いがあるのでしょうか。美しい石が「宝石」で、そうでないものが「石ころ」?素朴な疑問ですが、線引きが難しくて、急に聞かれたら、すぐに答えることは難しいと思います。鉱物の専門家として、簡単に説明します。...
【ダイヤはなぜ美しい?】計算された3つの光【図で解説】キラキラと輝くダイヤモンド。永遠の輝き。その美しさには科学的な理由があります。物の見た目に関する疑問は多くありますが、大抵は学校で習う単純な現象「光の反射」「光の屈折」などの組み合わせで理解できます。結晶を研究して15年の専門家として、簡単に説明します。...