鉱物

【ダイヤはなぜ美しい?】計算された3つの光【図で解説】

キラキラと輝くダイヤモンド。永遠の輝き。
その美しさには科学的な理由があります。
物の見た目に関する疑問は多くありますが、
たいていは学校で習う単純な現象「光の反射」「光の屈折」などの組み合わせで理解できます。
結晶研究13年の専門家として、簡単に説明します。

【ダイヤはなぜ美しい?】計算された3つの光を解説

もちろんダイヤモンド自体が発光するわけではないので、暗い部屋では輝きません。
ダイヤモンドに光が当たったとき、次の3つの光が混ざってキラキラと輝きます。
① 表面で反射する光
② 内部から放たれる白く強い光
③ 虹色の光
順番に説明します。

1. 表面で反射する光

この光はきらめき、シンチレーションと呼ばれます。
ダイヤモンドの多くはブリリアントカットと呼ばれる形にカットされています。
最も美しく光を反射するよう、数学的に設計された形です。
58面体という複雑な形なので、少し傾ける度に違う面からの反射が目に入り、キラキラと輝いて見えます。

シンチレーションは形状による輝きなので、ダイヤモンド独特のものではなく、
このカットを施せば、ガラスなど他の素材でも同じような反射を起こします。
ただダイヤモンドは非常に硬い素材ですので、この複雑な形を作ったあと、耐久性が高く、欠けたり傷が付いたりしないメリットがあります。
なので、硬さもダイヤモンドの美しさを保つ重要なファクターです。
ガラスで同じ形を作っても、傷が付いてしまったら輝きが弱まります。

しかし、そんなに硬いダイヤモンド、どうやってカットするのでしょうか?
この疑問についてはコチラの記事で書いています。

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2. 内部から放たれる白く強い光

ダイヤモンド特有の白くまばゆい光で、ブリリアンシーと呼ばれます。
一度ダイヤモンドの中に入って、何回か反射してから返ってくる光です。

ダイヤモンドは光を折り曲げて返す力=屈折率が非常に大きいです。
(屈折率: ダイヤモンド2.4 > サファイア1.8 > ガラス1.5 > 水1.3)

なので、ガラスやサファイアをブリリアントカットしても、
一部の光は透過してしまい、反射して返ってくる光が半減します。
ダイヤモンドの場合、光を透過させずにすべての光を上に返すことができます。
白くまばゆい光の正体は、この『光の全反射』という現象にあります。

3. 虹色の光

最後の光は虹色の光です。ディスパージョンとも呼ばれます。

自然光(白色光)には七色の光が混ざっています。
<波長が長い> 赤→橙→黄→緑→青→藍→紫 <波長が短い>

光が透明な物質に入って屈折するとき、波長の長い赤は小さく曲がり、波長の短い青は大きく曲がります。
このように光の波長によって曲がり方が違って、光が分かれる現象を『光の分散』といいます。

水やガラスでも同じ現象が起きますが、ダイヤモンドは光を分散させる力が強いです。
なので、ダイヤモンドを少し傾けると七色にきらめき、虹色に輝いて見えます。

光を大きく分散させるには、いくつかの平行で無い面で、何回か折り曲げることが有効です(プリズム)。
ダイヤモンドの形を考えると、平行な面の組み合わせが1つも無いことに気が付きます。
計算し尽くされたダイヤの形状に驚きます。

ブルー、ピンク、レッドなど希少性の高いカラーダイヤモンドについては、コチラの記事で書いています。

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ちなみに虹ができるのも『光の分散』です。
詳しくはコチラの記事で書いています。

まとめ

以上のように、ダイヤモンドは光の屈折率が高いため、ブリリアントカットしたときに様々な色と強さを持つ3種類の光を放ち、キラキラと輝きます。

また非常に硬く傷付きにくいため、この形状が保たれ、
A Diamond is Forever (ダイヤモンドは永遠の輝き) などと言われます。
愛の約束にも、色んな科学が貢献しているのですね。

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