ホッキョクグマはなんで白いのでしょうか。
ほんとは白でなくて透明で、白でなくて黒..??
シロクマとの違いは何?
南極にはいない?
先日、ホッキョクグマが「寒さに強いヒミツ」
「なぜ大きいか」という記事を書きました。
今回はホッキョクグマ・シリーズのパート3です。
ホッキョクグマの体毛がただの体毛じゃないこと、
北極で暮らすうえで役に立つ理由を解説します。
それでは、よろしくお願いします。
ホッキョクグマはクロクマ?
い・き・な・り・で・す・が、
白い体毛の向こう側、ホッキョクグマの皮膚は黒です。
ホッキョクグマは毛を刈ったらクロクマになります。
そう思って鼻やくちびる、ほっぺたのあたりを見てみると、
たしかに黒いことがわかります。

毛は透明?
ホッキョクグマの体毛は、他の動物と少し違います。
毛のなかがストローのように空洞になっていて、透明性があります。
1本1本は透明性がありますが、何本もあるので、
遠くから見ると白く見えます。
白い透明のビニール袋を何枚か重ねると、
透明性がなくなって、白く見えるのと同じです。

(右) 体毛の断面を観察した顕微鏡写真(引用元: slideplayer.com)
なぜ寒さに強い
ホッキョクグマの毛は透明性があるため、
太陽の光のほとんどが透過して、皮膚に届きます。
皮膚は黒いので、効率よく暖まり、体温を上げます。
一方で、空洞のある体毛は、一度蓄えた熱を逃がしません。
家も二重窓にした方が、断熱性が良いのに似てます。
このようにホッキョクグマの毛皮は温かい空気の層を作り、
冷たい空気をシャットアウトします。
ホッキョクグマが白色透明の体毛を身にまとっていることは、
極寒の北極の地で暮らすうえで、とても理にかなっていると言えます。
おまけ: シロクマとは違う?
ホッキョクグマはシロクマと呼ばれることがあります。
ですが、ホッキョクグマの皮膚が黒いことは上で説明しました。
他にシロクマと呼ばれるクマを2つ紹介します。
スピリット・ベア (精霊のクマ)
北アメリアに棲むクロクマです。
劣性遺伝によって、10頭に1頭の割合で
体毛が白あるいはクリーム色になります。
ネイティブアメリカンは神聖な生き物とあがめていたそうです。
現在は400頭いると考えられています。
アルビノとは違うので、眼や鼻、口は黒いことが確認できます。
アルビノのクマ
生まれつき色素(メラニン)が欠乏する
遺伝子疾患がある個体はアルビノと呼ばれます。
皮膚や体毛、眼の色が薄くなります。
シロウサギやシロヘビ、ライオンなどが有名ですが、
クマにもアルビノがいます。
アルビノのクマは体毛だけでなく、
眼や鼻、口の色素が薄いことも確認できます。

(右) アルビノのクマ (引用元: flickr.com)
まとめ
ホッキョクグマの黒い皮膚と白色透明の毛が、
極寒の地で生きるうえで、役立つことを説明しました。
これまでの記事と合わせることで、
ホッキョクグマが寒さに強いヒミツについて、
詳しく説明できたと思います。
ほんとうは皮下脂肪を多く蓄えていることも重要です。
また、ホッキョクグマ以外のシロクマとして、
『スピリット・ベア』と『アルビノのクマ』を紹介しました。
ちなみに、ホッキョクグマは南極にはいません。
ホッキョクグマの大きなカラダを維持するためには
大量のカロリー摂取が必要です。
北極では海から出てきたアザラシやセイウチを狩りますが、
南極にはエサとなる陸生動物がほとんどいません。
自然淘汰や進化についてはこの入門書が読みやすくて学びが多いです。
おすすめの教養本のひとつです。
最後までご覧いただき、
ありがとうございました。
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